「――L18だと? L18で、メルーヴァの幹部が逮捕されたってのか」

 

 どうして、L18に革命軍がいる。

 アズラエルがチャンネルを変えた。どこの番組でも、臨時ニュースと言う形で、この逮捕の一部始終を映している。

 

 「こりゃァ、明日の新聞はコレ一色だな……」

「アズ……」

 

ルナが不安そうな顔で、しゃがみこんだアズラエルの首に抱きついてきた。アズラエルはもう少し見たかったが、テレビを消した。ルナが泣きそうな顔をしていたからだ。

 

 「――なにをビビってる」

 アズラエルはルナの頭を撫で、頬をぷにぷにと突ついた。

 「心配するな。L18の軍事力と、警察星の捜査能力をバカにするなよ。にわか仕込みの革命軍なんぞ、ひとたまりもねえよ。メルヴァは、すぐ捕まる」

 「……」

 「怖くねえ。この宇宙船も、俺たちも、おまえを守ってるんだ」

 「――うん」

 

 ルナが、むぎゅ、と言う感じでアズラエルの首にきつく抱きついてくる。そのままアズラエルは抱き上げ、ベッドにルナを下ろした。そのまま乗りかかり、最初はそっと。まだ理性が持つうちは、そっとルナの唇を吸う。

 

 「……ンっ、」

 

 ルナの唇を割って舌を入れた瞬間に、理性が吹っ飛ぶのはアズラエルのほうだった。角度を変えて、ルナの口の中を舐めつくす、苦しげな、ルナの声。

 

 「ン、ン、――アズ、」

 唇も堪能していたいが、膨張しだす欲は、我慢がきかずに次々とルナの身体を責める、耳に触れて、噛んで、舐めると甘い声、「はひ、」

すでに昂ぶってどうしようもない自身のソレが、ルナの太ももに触れると、ルナは触れてはいけないものにでも触ったようにビクついた。

 

 「久しぶりなのに、可愛がってくれねえのか?」

 わざと押し付けるようにすると、ルナが真っ赤な顔をしてアズラエルの頭を叩く。だがその腕に力は入っていなかった。

 最初のキスと、耳への愛撫で、もう腰は抜けている、緩んだバスローブのひもを解き、待ちかねたルナの白い肌に触れる。胸に顔を埋めながら、ルナが喜ぶ胸の突起には触れてやらない。多少のイジワルは許せ。

 

 片手でルナの小柄な体を掬い上げたまま、下着の間に武骨な手を滑りこませると、ルナの喉が反った。すかさず首筋に食らいつきながら、奥の方へ指を沈ませていく。この場所に、すぐにでも捻じ込みたいのを我慢して。

 

 「――ルゥ」

 

 熱さを持った、最大級の甘い声音で囁いてやると、「……あぁ、」とルナの唇が戦慄いて声が漏れる。同時に、指をくわえこんだ中がヒクつく。

 「ひぁ、や、やだ、あ、アズ……!」

 「ルゥ、……可愛いな。……ン? 気持ちいいのか?」

 アズラエルは、自分自身をもなだめるように、ルナの唇に優しく、優しくキスをくりかえし、蕩かしていく。ルナは、甘くすればするほど、ぐずぐずに身体が蕩けていくのをアズラエルは知っている。声を甘くし、言葉を甘くし、いい子だ、可愛いと囁けば、それだけで身体が反応する。

 

 「あ、あ、――あ! ……っひゃ、」

 「ルゥ? こんなに濡れてンだから、入れてもいいよな……?」

 

返事を待たずに捻じ込むと、ルナの泣きそうな悲鳴。痛い、とは言わなかったことに気をよくして、調子に乗って一気に奥まで進める、とたんに窮屈になる内側に、アズラエルは一旦強く息を吐いた。

 

「は、はひ、……あ、じゅ、」

無意識にもがくルナの手が、アズラエルのバスローブを肩から引きずりおろした。

 

「ふ、や、あ、あ、あ……!」

ルナの両肩をシーツに縫い付けて、ゆっくりと中を抉るように腰を動かす。身動きの取れない上半身のかわりに白い足を震わせて、快感に耐える、それにますます煽られて、アズラエルは、ルナの首筋に食いつき、めのまえで揺れる桃色の突起に食いつく。

 

 「は……、クソ、なんでおまえこんなに可愛いんだよ……」

 

 知らず知らずのうちに、腰をしたたかに打ち付けていた。「アズの、あじゅのばか、」ルナが何か言っているが、聞こえない。「もっとゆっくりして、」やっと舌足らずの声が耳に飛び込み、「無理だ」と返した。

 

「ルゥ、――ルゥ、」

二回目は、ゆっくり可愛がってやる、てめえが長いこと、俺を焦らすのが悪いんだ、とそれなりの言葉を吐くが、今度はルナが分からなくなっている。きつくルナを抱きすくめたと同時に、終わりが来て、収束。男の収束は意外と呆気ない。だが女の充足は男が思うより大きそうなのだ。毎回、それは思う。ルナの蕩けた顔を見て、そう思う。

 

「――ルゥ」

 

俺が充足するのは、ルナの蕩けきった顔を見る時だ。アズラエルは満足げに唇を舐めた。

 

充足しきったルナは短く、忙しない呼吸を吐きながら、トロンとした目であらぬ方を見ている。涙にぬれた頬と唾液に濡れた唇、またアズラエルの身の内が、ざわりと騒ぐ。まだなかに入ったままなのだ。「ルゥ」もう一度呼んで、身体を起き上がらせると結合部が音を立てる。ルナが悲鳴を上げる、歯型と赤で彩られた胸をわしづかみにすると、ふるふると小さな頭を振った。

 

長い栗色の髪が頬に張り付いている。それを、ていねいに避けてやって、甘いキス。そうっと唇を、アズラエルの唇で食んでやりながら、手の中の柔らかいものを、手触りを楽しむように揉みしだく。ルナが身悶える、甘ったるい声で。

 

「ルゥ、もう一回」

 

ルナが首を振ったが、アズラエルは聞き入れるつもりはなかった。

 

 

 ……抜かずの何とかを実施するはずが、ルナは三回目で失神した。二回目に時間をかけ過ぎたらしい。三回目終了のブザーと同時に、ルナの頭がアズラエルの肩にがっくりと垂れた。ああ、こりゃ明日熱出すな。アズラエルは嘆息した。ルナとだったら一晩中、飽きずにヤレるのに。飽きないのはアズラエルだけ。仕方がない、夜だけは寝かせてやろう。体力補給と滋養強壮に。そういうCMあったな。

 

 アズラエルはルナに毛布を掛けてやると、自分はベッドから降りてトランクを開けに行った。トランクから取り出したるは、小さな小箱――そう、ツキヨばあちゃんに送ってもらったものだ。その小箱から取り出したものは、指輪のケースだった。それも恐ろしく古びたもの。アンティークと言えるのではないだろうか。ホコリで白くなり、薄汚れたそれをパクリと開けると、中には指輪。しかし、その指輪はルナの指には大きい。さもありなん、もとはといえば、ツキヨばあちゃんのものだから。

 

 (――手直ししても構わねえって、ばあちゃんは言ってたが)

 

 とにかく、渡すタイミングを逃し続けている。アズラエルは指輪だけをケースから外すと、そっとルナの指にはめてみた。薬指にはブカブカ。親指でようやく落ち着きを見せる、この指輪。

 

 ツキヨばあちゃんが、ユキトじいちゃんから貰った、婚約指輪。

 

 これをルナにあげておくれ、というツキヨばあちゃんの願いを、アズラエルは断れなかった。

 

 アズラエルは、そのブカブカの指輪をルナの薬指にはめ、そうしてルナを抱き寄せて、こめかみにキスをした。指輪にもキスを。明日、この指輪のことを話そう。

 

 ――と思っていたアズラエルだったが。

 

 明け方、先に目覚めたアズラエルが、腕の中のルナに欲情して胸を揉みまくっているうちに、ルナの指から外れた指輪がゆかに落ち、アズラエルの無理のせいで、またルナがオチたため、指輪はまたルナに見せず話せずじまいで、仕舞われることになったのだった。